神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士 https://yokohamabiz.com 神奈川県横浜市の公認会計士・税理士 Sat, 02 Nov 2019 04:36:12 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.9.9 マネーフォワード給与(MFクラウド給与)で新しく採用した従業員を追加する方法 https://yokohamabiz.com/archives/179 https://yokohamabiz.com/archives/179#respond Sat, 02 Nov 2019 04:36:12 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=179 MFクラウド給与を使用してみたけど、操作方法が良く分からないなんてことはありませんか? 今回はクラウド給与を使用しているユーザーが、初めて新しい従業員を登録する時につまずきそうな操作を説明します。   新入社員 […]

The post マネーフォワード給与(MFクラウド給与)で新しく採用した従業員を追加する方法 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
MFクラウド給与を使用してみたけど、操作方法が良く分からないなんてことはありませんか?

今回はクラウド給与を使用しているユーザーが、初めて新しい従業員を登録する時につまずきそうな操作を説明します。

 

新入社員を追加する方法

クラウド給与トップ画面より「従業員情報」を選択し、「従業員の追加/更新」ボタンを選択します。

 

「従業員を1名追加する」を選択しましょう

 

新しく追加する従業員の「氏名」「従業員コード」「性別」「入社年月日」「契約種別」を追加しましょう

 

新しく社員が追加されました。

 

新入社員の詳細情報を入力する方法

・MF給与のトップ画面より「従業員情報」を選択します

「詳細設定」というボタンがあるので、そこを選択します。

「詳細」ボタンを押すと、従業員の住所などの基本情報、給与や交通費の設定、社会保険や雇用保険の情報を入力できるようになります。

*一般情報

氏名、性別、生年月日、電話番号、郵便番号、都道府県、住所、マイナンバー
入社年月日、契約種別などを登録しましょう。

*給与情報

支給項目

基本給が決定している場合はその金額を入力します(月額)。
時間給の場合は、時給を入力します。

通勤手当

交通費を支給する契約になっている場合は、1カ月の通勤手当の金額を入力します。

交通費として合理的な金額を従業員に支払う場合は、1カ月15万円を超えない限り税金が発生しません。

健康保険/厚生年金保険

社会保険に加入している事業所の場合で、新入社員が加入する場合は、情報を入力していきます。

なお新入社員が社会保険が以下の条件に当てはまる場合は、加入する必要があります。

①雇用の見込みが2ヶ月以上ある
②労働時間が正社員の4分の3以上ある

個人事業所で常時従業員が5人以下の場合は加入が任意となり、そもそも社会保険の加入対象にならない場合があります。

労災保険/雇用保険

従業員を雇用する場合で、以下の条件に当てはまる場合は、雇用保険に加入する必要があります。

①所定労働時間(休憩時間を除く労働時間)が1週間で20時間以上
②雇用見込みが31日以上ある

従業員を1人でも雇い入れている場合は雇用保険に加入する必要があります(短期間労働の場合を除く)。

住民税

毎月の給与から源泉する住民税額を入力します。

基本的に新入社員が入社した時には入力する必要がありません。

転職した社員を採用した場合で、転職前の会社で行なわれてきた特別徴収から転職後の会社へ切り替えを依頼された場合には手続きを行なう必要があります。

引継ぎには時間がかかることが多いので、新入社員のデータを作成する段階では空白で良いでしょう。

新入社員の給与計算を確認しよう

「従業員情報」で新入社員の情報を登録しただけではきちんと給与計算が行なわれない可能性があるので、給与計算をする前に確認を行いましょう。

*クラウド給与のトップ画面より「給与計算」を選択し新入社員の名前を選択します。画面上に表示される、給与明細を確認します。

そうすると、現在の設定では

①給与明細に役員報酬と記載されてしまう。
②通勤費が計算されていない。
③社会保険の金額が自動的に計算されない。

などの問題があります。

それではこれらをどのように設定するのか説明していきます。

給与明細の支給項目や控除項目を編集する方法

クラウド給与のトップ画面より「基本設定」→「支給項目」を選択します。

はじめは役員報酬という所が選択されていますが、この選択を外します。

次に支給項目の下の方に「通勤手当」という項目があると思いますので、こちらを選択します。

選択が完了したら下の方にある「保存」ボタンを忘れずに押してください。

続いて、クラウド給与のトップ画面より「基本設定」→「控除項目」を選択します。

「健康保険料」や「雇用保険料」、「住民税」など給与から差し引く必要がある項目をチェックします。

選択が完了したら下の方にある「保存」ボタンを忘れずに押してください。

再度「給与計算」画面を確認

きちんと設定が出来ましたか?

【注意】
健康保険や雇用保険の欄に金額が入らないという方は、会社の健康保険・雇用保険の設定ができていない可能性があります。

クラウド給与トップ画面より「基本設定」から「社会保険」と「労働保険(雇用保険)」の設定ができます。こちらも設定してみてください。

以上、クラウド給与上で新入社員のデータ登録をする方法でした。

The post マネーフォワード給与(MFクラウド給与)で新しく採用した従業員を追加する方法 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/179/feed 0
売上高1000万円以下の個人事業主は消費税が免税ですが、クライアントに消費税は請求しないという事でしょうか? https://yokohamabiz.com/archives/131 https://yokohamabiz.com/archives/131#respond Tue, 22 Oct 2019 09:21:22 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=131 個人事業主になって請求書をはじめて作成するときに、悩んでしまうのが消費税ではないでしょうか。 すべての個人事業主の方は、年間の売上が1000万を超えるまでの間、消費税の支払が免除されています。 事業を始めたばかりの個人事 […]

The post 売上高1000万円以下の個人事業主は消費税が免税ですが、クライアントに消費税は請求しないという事でしょうか? first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
個人事業主になって請求書をはじめて作成するときに、悩んでしまうのが消費税ではないでしょうか。

すべての個人事業主の方は、年間の売上が1000万を超えるまでの間、消費税の支払が免除されています。

事業を始めたばかりの個人事業主の方にとって、確定申告の時に所得税だけではなく消費税の申告書も作成しなければいけないのは大変ですので、事務負担軽減の目的で消費税の申告は免除されています。

でも普通に考えると、消費税を払わないのなら請求書をする時に消費税は請求しないのではと感じませんか?

この点について、国税庁(税務署)は「免税事業者が請求書等に「消費税額」等を表示して別途消費税相当額を受け取るといったことは、消費税の仕組み上、予定されていません」と記載しています。

すなわち、税務署的には免税事業者は消費税を請求しないでねと言っているように聞こえます。

しかし実際のところ、世の中の個人事業主がどうしているのかというと、、、
「がっちり消費税も含めて請求しています」。

なんで消費税を支払わない人が消費税をもらっているのでしょうか?

その答えは、請求書を作成するときにあなたが消費税を払っているのか払っていないのか、記載する必要がないからなのです。

**********

例えば100万円の請求書を作成するときに、消費税10%を含めて110万円を請求したとします。

そしてクライアント側の経理では、100万円を外注費、10万円は消費税として処理します。

110万円の入金を受けたあなたは、実際は100万円が仕事の対価で、10万円は消費税ですが、消費税の納税が免除されていますので結果的に10万円収入が増えることになります。

さて、一見あなたが10万円得しているように見えますが、誰が損をしているかわかりますか?

**********

それでは、もう少し詳しく解説していきたいと思います。

2023年には消費税の請求方式が変更されることが予定されていますので、いままで消費税の支払いを免除されていた個人事業主の方でも今後は消費税を納める必要があるかもしれません。

この記事を読んで、税理士に詳しく聞いた方がいいかもと思った方はお気軽にお問い合わせください。

 

個人事業主の消費税申告は、年間の売上が1000万円を超えてから

消費税ではその課税期間に係る基準期間(※)における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。

注意
平成25年1月1日以後に開始する年については、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

※基準期間とは前々年度をいいます。(2019年に消費税を申告するかは2017年の売上で判定する)
※特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいいます。

年間売上が消費税を含めて1000万円以下であれば消費税を払う必要はないですよという制度です。

個人事業を始めたばかりの方の場合、2年前の売上は当然ゼロですので、消費税の納税は免除されます。

ここでの売上というのは、個人事業を始める前にアフィリエイトやせどりで雑所得があった場合にはその金額を含めますが、前職の給料などについては含めません。

消費税を免除されている個人事業主でも、後述するように消費税の還付請求ができるような事業者の場合には、「消費税課税事業者選択届出書」という書類を提出することで、消費税の申告をできるようになります。

 

消費税の計算方法。課税売上と課税仕入の考え方と分類

消費税の計算方法は、もらった消費税から支払った消費税を差し引いて計算します。

消費税の計算方法
課税売上(請求の際にもらった消費税)ー課税仕入(材料の購入や外注さんに支払うときに支払った消費税)

従業員の給料を支払う場合は消費税がかかりませんが、外注費を支払う場合は消費税がかかるなど注意すべきポイントも多少あります。

freeeのサイトにわかりやすいフローチャートがありますので参照します。

このように会計ソフトを利用して、年間の売上、仕入、経費、もらった消費税、支払った消費税を区分していくことで消費税の申告書を作成することが可能です。

 

これまでのやり方が変わる?2023年から制度改正されるインボイス方式ってなに?

先ほどあなたが免税事業者の場合の請求方法と、その処理について例示しました。
もういちどこの事例を考えてみましょう。

**********

①100万円の請求書を作成するときに、消費税10%を含めて110万円を請求した。

②クライアント側の経理は、100万円を外注費、10万円は消費税として処理した。

③110万円の入金を受けたあなたは、実際は110万円を収入として、消費税は納税しなかった。

④誰かが損をして悔しがっていますがそれは誰でしょうか?

**********

この問題の回答ですが、わかりましたでしょうか。

あなたのクライアントは消費税を申告するときにあなたに支払った10万円の消費税を差し引いて申告しましたが、あなたはもらった消費税を支払いませんでしたので、税務署は10万円の税金を徴収できなかったことになります。

つまり、税金を回収できなくて悔しがっているのは税務署ということですね。

このような問題が起きないように請求書の記載要件を変更してしまいました。
簡単ですがそれがインボイス請求書と呼ばれている改正になります。

つまり
①消費税を納税していない個人事業主は消費税を請求してはいけません。
②請求書で消費税を請求するのであれば、消費税を納税を免除することはできません。
③もし消費税を支払わない個人事業主が、クライアントに消費税を請求した場合は罰金を課します。
というような制度です。

この制度改定は2023年10月より予定されています。

制度改定がおこなわれると、売上高1000万円以下の個人事業主で消費税を支払わない事業者はこれまで通りクライアントに消費税を請求する事ができなくなります。

 

具体的に何が変わるの?(専門的なので飛ばしても大丈夫。)

現行では消費税の仕入税額控除の要件として、「帳簿」と「請求書等」の保存が求められていました。

2023年10月1日からは仕入税額控除の適用を受けるために必要な請求書等の保存方式として適格請求書等保存方式「インボイス制度」が導入され、原則「帳簿」と「適格請求書(インボイス)」の保存が仕入税額控除の要件となります。

請求書を保存しているだけではダメで、適格請求書でないと消費税の仕入税額控除が取れませんよということです。

この「適格請求書」は課税事業者で事前に税務署に届け出た事業主だけが発行できることとなります。

今後はあなたがクライアントに、ご自身が適用している税率や消費税額を記載して請求書、領収書、納品書を発行することになります。

免税事業者が発行する請求書は「非適格請求書」と呼ばれ、非適格請求書については消費税の仕入税額控除を行うことはできません。

適格請求書ではないという事で「非適格請求書」と呼ばれているのですが、なんだか嫌な響きですよね。

実際に制度改定後は、消費税の免税事業者が発行する「非適格請求書」はとても嫌われることになります。

場合によっては、あなたが非適格請求書を発行する免税事業者という理由だけで、取引先から外されてしまうというような事も心配されています。

 

インボイス制度の導入に当たって必要な準備は?

消費税の課税事業者が適格請求書を発行するためには、事前に税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。

課税事業者でなくては登録を受けることができないので、消費税の免税事業者が適格請求書を発行したい場合には「消費税の課税事業者選択届出書」を提出することで、消費税の課税事業者になる必要があります。

登録申請書は税務署で審査され、無事に登録が完了すると事業者に登録番号が通知されます。

なお登録申請書は今のところ2021年10月より提出できることとなります。

~適格請求書発行事業者の申請から登録までのイメージ~

国税庁(平成30年4月)

 

いつから?適格請求書等保存方式への移行スケジュール。

2019年10月に消費税率が改正されたばかりだというのに、4年後の2023年10月には再改正が行われます。

2023年10月の改正が国税庁が考える最終形態だとすれば、それまでの間は経過措置期間とも言えますね。

またインボイス制度が導入されても、当分の間は経過措置がとられます。

免税事業者からの請求書だったとしても、「標準税率と軽減税率の区分記載」など要件を満たしている請求書であれば一部を仕入れ税額控除に計上できます。

その経過措置も段階的には引き下げられる予定ですが、その内容は以下の通りです。

経理担当者からすれば移行期間があることでさらに実務が複雑になってくるような気がします。

 

請求書はどのように変わる?

それでは、今後請求書の形はどのようになっていくのでしょうか?

これまでの請求書に記載しなくてはいけないこと

① 書類の作成者の氏名又は名称
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
④ 課税資産の譲渡等の対価の額(税込価額)
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

消費税10%増税後(2019年10月以降)に請求書に記載しなくてはいけないこと

① 書類の作成者の氏名又は名称
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には,資産の内容及び 軽減対象資産の譲渡等である旨 )
④  税率ごとに合計した 課税資産の譲渡等の対価の額(税込価額)
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

適格請求書方式導入後(2023年10月以降)に請求書に記載しなくてはいけないこと

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には,資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 税率ごとに区分した課税資産の譲渡等の 税抜価額又は税込価額の合計額及び適用税率 ⑤  税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

日々の経理方法を図解します(経理担当者は一読。)

ここでは実際の経理実務を意識して、どのように作業を行っていくかを説明していきたいと思います。マネーフォワードやFreee、弥生会計など標準的な会計ソフトで経理を行っていることを念頭に説明を行っていきます。

①勘定科目の作成。税区分の設定

勘定科目の中の「業務委託費」「外注費」「消耗品」「交際費」「会議費」には、軽減税率8%の税区分と標準税率10%の税区分で2パターンの税区分を作成してください。

「業務委託費」や「外注費」について取引先ごとに補助科目を作っている方の場合は、取引先が「適格請求書発行事業者」か「非適格請求書発行事業者」なのか確認して税率を設定しておくとよいでしょう。

 

②税率の確認をして伝票作成

社内から集めた請求書や領収書を会計ソフトに入力していく場合には、慣れるまでは消費税の税区分についても意識して確認しましょう。

一つの領収書の中に軽減税率と標準税率が混在している場合には、それぞれを一つの仕訳として計上していくとよいと思います。

一つの領収書を一つの仕訳で処理して行きたい方の場合は、仕訳が2行になりますがそれぞれ税率を確認しながら処理を行っていくとよいでしょう。

 

③税率ごとの購入価格が記載されていない領収書があった場合

「軽減税率の対象品目に※などの印」「税率ごとの請求金額」の記載がない請求書や領収書を受け取った場合には、お手数ですが経理の担当者の方が計算して追記してください。

「登録番号」の記載がない請求書を受け取った場合には、そのままでは仕入れ税額控除をとることはできませんので、従業員に差し戻して確認しましょう。

請求人が免税事業者で「非適格請求書」であることが確認できた場合は、補助科目(非適格請求書)として処理を行います。

非適格請求書を受けとった場合の税区分の設定方法は、2023年までにリリースされると思われます。

2019年時点では、そのような設定はありませんので暫定的に「対象外仕入」として例示しています。

④従業員の交通費など適格請求書がない場合の処理方法

インボイス制度では,これまでや区分記載請求書等保存方式(2019年10月以降)において認められる「取引額が3万円未満の場合」における「帳簿のみ保存」による仕入税額控除は認められなくなります。

ただし、電車やバスなどの交通費や自動販売機での購入など相手方から適格請求書の発行を求めることが難しい場合、出張旅費などそもそも請求書がない場合には、これまでどおり領収書や請求書がなくても仕入税額控除を計上する事が認められます。

逆に、ヤフオクやメルカリ、Amazonなどで材料や備品を購入した場合、たとえ3万円未満の購入だったとしても仕入税額控除を計上するためには購入者から適格請求書等の発行をしてもらう必要があります。

この点についての議論も進展があれば追記していきたいと思います。

 

消費税の管理は会計ソフトを利用しないと難しい

個人事業主は日々の入金や支払について経理をしていく必要があります。

軽減税率が適用されたので消費税が8%か10%かという事も区分する必要があります。

インボイス方式が採用されると、仕入先を課税事業者と免税事業者に分けたあと、免税事業者から受け取った請求書が区分記載請求書であるかを確認する必要があります。

消費税が10%か5%かに分けたうえで、その時期によって仕入税額の割合を80%か50%科区分していかなくてはいけません。

こういった日々の帳簿付けは、会計事務所でも大変な労力ですが、経理担当者が日々の業務で行っていくのは大変な労力がかかります。

会計ソフトを導入するのはもちろんですが、簡易課税という消費税の簡便な計算方法も用意されていたりしますので、検討してみましょう。

 

インボイス方式導入後の注意点

①下請け、職人の場合(土木建設業、個人のフリーランス)

神奈川県には土木建設業の下請け訴されている個人事業主の方や職人も多くこういった方の多くは、経理に詳しくありません。

しかし今回の消費税の制度改定は、このような職人さんにも適格請求書の発行を求めるものですので実務で大変な混乱が生じることが想定されます。

 

②器具や備品をメルカリなどで購入する場合

カメラマンの方で業務に使用するカメラやビデオの機材をメルカリで購入しましたという方が最近増えてきています。

他にも業務用の工具や部品なども、メルカリで購入することもあるでしょう。

メルカリで販売を行っている人の多くは、ビジネスではなく一般の方が多いのでこれらの方からインボイスの発行を求めるのは無理でしょう。

という事は、メルカリで備品を購入したとしても仕入税額を計上することはできません。

 

③クラウドワークス、ランサーズで業務を受託しているフリーランスの場合

クラウドワーカーと呼ばれる人たちがいます。

この人たちはクラウドワークスやランサーズで募集されている案件を受託して収入を得ています。

副業としてこれらの案件を受託しているクラウドワーカーの場合、免税事業者に該当し消費税の支払を免除されている場合が多いと思います。

企業がクラウドワーカーに業務を委託する場合に、その人が適格請求書を発行できる課税事業者か免税事業者かというのは、判断の要素となってしまう場合があります。

企業からすると今後免税事業者に仕事を依頼するとデメリットが生じます。中には免税事業者との取引はしないという企業も出てくるかもしれません。

 

まとめ (本当に制度の改定が行われるの?)

現段階では制度改正がスケジュール通り行われるかわかりません。。

税理士会でも、インボイス制度の導入は実務に大変な混乱が生じるとして、制度の改正を求めています。

建設業協会からも反対の声が上がっていると聞きます。

消費税の増税も延長された過去がありますので、適格請求書等保存方式の導入にあたってもまだ混乱が生じることが予想されます。

あなたが免税事業者である場合は、今後法律の改正を知らないことによって金銭的にもビジネス的にもデメリットを受けてしまう可能性があります。

これまでと同じようにビジネスとしていても認められなくなる可能性があります。

免税事業者でも売上がなくても税理士に相談する必要が出てくるかもしれません。

The post 売上高1000万円以下の個人事業主は消費税が免税ですが、クライアントに消費税は請求しないという事でしょうか? first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/131/feed 0
2018年税制改正!配偶者が扶養から外れる上限をわかりやすく解説!! https://yokohamabiz.com/archives/77 https://yokohamabiz.com/archives/77#respond Sat, 05 May 2018 03:17:27 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=77 2018年度は一般世帯に直結する税制度の改正がありました。 以前は税制度の改正というと、大企業や中小企業に関しての施策が多かったのですが、最近は一般世帯にも直結する改正が多くなっています。 今年の改正は個人では基礎控除や […]

The post 2018年税制改正!配偶者が扶養から外れる上限をわかりやすく解説!! first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
2018年度は一般世帯に直結する税制度の改正がありました。

以前は税制度の改正というと、大企業や中小企業に関しての施策が多かったのですが、最近は一般世帯にも直結する改正が多くなっています。

今年の改正は個人では基礎控除や給与所得控除等の見直し、法人では賃上げした場合の法人税の税額控除の改正、事業承継税制の見直しなどが盛り込まれました。

配偶者控除の改正を中心に2018年にどのような改正が行われるか、わかりやすく解説していきたいと思います。

2018年1月:配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

<ポイント>
奥様のパート収入が年間150万円までなら、確定申告でご主人の扶養となることが可能に。ただし、ご主人の年収が1200万円を超えてくると、配偶者は扶養になれない。

2018年分の所得税より『配偶者控除』『配偶者特別控除』の規定が改正されました。

◯配偶者控除とは!?
妻の給与収入が一定金額以下である場合には、ご主人の扶養に入ることとなり所得税・住民税が減額できる制度です。

◯配偶者特別控除とは!?
妻の給与収入が一定金額を超えてしまった場合に、ご主人の所得税・住民税が突然増えないように、段階的に増税していく制度です。

わかりやすく図示するとこんな感じです。


これが改正されます。

具体的には
①ご主人の収入制限ができるので、収入が多すぎる世帯主の場合は、配偶者控除が使えなくなる。
②妻の年間給料の上限があがるので、配偶者が扶養内で働くことのできる給与の上限があがる。

つまり①に該当する高所得者世帯にとっては、奥様の分は配偶者控除が取れなくなるので大ダメージとなります。

ただし、増税となるのは給料が年間1000万円以上あるような高所得者世帯に限られ、年収500万円で奥様も共働きしているような一般世帯の方はうまく活用することで、これまでよりも税金を少なくすることも可能です。

この改正は昔から103万円の壁と呼ばれている、奥様の心理的な年収上限を増やそうという試みです。

これで単純に年間150万円まで働いてよいかというとそうとも言い切れません。そもそもこれは、ご主人の税金計算の際に奥様が扶養になれるかという話であって、奥様自身の税金はこれまで通り年間103万円を超えると発生します。

また健康保険や社会保険についてもこれまでご主人の扶養となっていたものが、年間130万円以上の給与を稼ぐようになると、自分で払わなくてはいけないので世帯手取りは減額するはずです。

この辺も考えなくてはいけなくなったため、考えるほど結局どうすればよいかわからないという問題が出てきそうです。

つまり、選択肢が増えたことでますます制度がわかりにくくなっているので、しっかりと理解してトクをする行動をとれる方と、よくわからないのであきらめる方に分かれてしまうのかなと思っています。

皆様に制度を理解していただけるように丁寧に解説していきたいと思います。

配偶者控除についてよりしっかり学習されたい方はコチラ↓↓↓

配偶者控除を受けることができるのは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合です。

〈控除対象配偶者とは〉
1.民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
2.納税者と生計を一にしていること
3.年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

〈配偶者特別控除を受けることができる条件〉
1.控除を受ける人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること
2.配偶者が、つぎの5つの要件すべてに当てはまること
-民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
-控除を受ける人と生計を一にしていること
-その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
-ほかの人の扶養親族となっていないこと
-配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること

2018年の『配偶者控除』の改正で大きく変わったのは、次の2点です。
①納税者の給与収入が1120万円を超えると年収額に応じて段階的に控除額が減るという点。1220万円を超えると完全に配偶者控除・配偶者特別控除が取れなくなる。
②配偶者控除・配偶者特別控除を受ける事の出来るの配偶者の給与収入の上限が103万円から150万円へ変更

2018年1月:つみたてNISA開始、NISAのロールオーバー上限撤廃

<ポイント>
将来の年金は自分で確保する時代へ!これからの30代~40代世帯の資産形成術

今回の改正では、若者世代に老後の資産設計を積極的に行なわせようという意図が垣間見えます。

どういうことかというと、「年金というのは将来の老後のために今から貯金をしていく」という事が本来的なあり方です。しかし、現制度上は現役世代が支払った保険料を貯金ではなく、現高齢者世代が使用する自転車操業状態になっています。そのため、我々のような若い世代が高齢になった時に誰がその年金や保険を支えてくれるのかといえば、その時の若者です。少子高齢化が進む中、今後もこの制度が成り立ちそうもない事は明らかです。

という事で、将来の資産設計はこれからは自分で行っていく時代になりました。

自分の将来の老後資金は、自分で貯蓄していきましょう(国の年金制度とは別に貯蓄してください)。貯蓄した人は将来ゆとりのある生活ができるし、若い時に散在して資金を貯蓄しなかった人は、それだけ老後資金が枯渇します。

国としては、貯蓄している人は優遇をします。どういった優遇化といえば年間のつみたて額を確定申告の計算上、経費として収入から控除し、税金を軽減します。という制度改正です。

それでは、そのような考え方のもと改正された二つの制度を解説していきたいと思います。

制度①:つみたてNISA

NISA(少額投資非課税制度)の年金バージョンとも呼べる制度です。

我々勤労世代が、投資というよりも将来の老後資産目的として今から少しづつ金融資産を購入していったときに配当だったり投資利益を非課税にします、という制度です。

『つみたてNISA』の主なメリットはつぎの3点です。
①非課税期間は最長20年
②非課税投資枠は年間40万円まで
③一定条件を満たす投資信託の購入が対象となる

対象となる投資信託は、手数料が低水準(購入時手数料は無料)、信託報酬が所定の水準以下等の要件が満たされた商品なので、投資初心者でも購入できる商品です。

制度②:個人型確定拠出年金(iDeCo)

もう一つ、今じわじわと注目を集めてきているのがiDeCo(イデコ)と呼ばれる制度です。簡単に言うと所定の金融商品を自ら購入しながら運用していきましょう。そこで形成した資産は60歳以降に一括だったり年金形式で受け取ることができますよという制度です。

2017年からこの制度が始まりましたが、2018年はよりつかいやすく制度が改正されました。

<iDeCoの3つのメリット>
①毎年の掛金は、経費になる。
毎年の所得税・住民税は減額できます。

②運用時に税制優遇
iDeCo口座内で購入した金融資産の運用利益(分配金・譲渡益)は、全額非課税

③将来の年金受取時の税金も優遇

iDeCoをよりしっかり学習されたい方はコチラ↓↓↓

1.掛金拠出時に税制優遇

掛金は所得税・住民税の計算上、小規模企業共済等掛金に該当し、その年の拠出額の全額が所得控除に加算されて所得税・住民税の負担が軽減されます。

◯給与収入別の税負担軽減額 【掛金が月23,000円の場合】
給与収入税負担軽減額
400万円41,400円/年間
600万円55,200円/年間
900万円82,800円/年間

2.運用時に税制優遇
iDeCo口座内で購入した投資信託等の運用に係る利益(分配金・譲渡益)は、全額非課税となります。

3.受け取り時に税制優遇
iDeCoで積み立てた資産は、60歳から70歳までの間に給付請求を行うことで、ご自身で選択した時期・方法で受け取ることができます。一時金・年金のいずれの方法で受け取った場合でも、税制優遇制度の適用を受けることが可能です。

■一時金として受け取り
→退職所得として課税(掛金拠出期間に応じた退職所得控除額は課税対象外)

■年金形式で受け取り
→公的年金等に係る雑所得として課税(公的年金等控除額以下の部分については課税対象外)

4.掛金の上限があります。サラリーマンは月額2.3万円まで!!
iDeCo加入時に拠出することができる掛金の上限はその人の状況により異なります。
対象者年間掛金上限
自営業者(第1号被保険者)816,000円(月額6.8万)
会社に企業年金のない会社員(第2号被保険者)276,000円(月額2.3万)
企業型(確定拠出年金)に加入している会社員(第2号被保険者)240,000円(月額2.0万)
(確定給付企業年金)に加入している会社員(第2号被保険者)144,000円(月額1.2万)
公務員(第2号被保険者)144,000円(月額1.2万)
専業主婦等(第3号被保険者)276,000円(月額2.3万)

iDeCoは老後の資産形成に非常に有効ですが、金融商品ですので資産が毀損するリスクもありますし、60歳になるまで受け取ることができないなど注意すべきポイントもあります。

社会保険の国民負担率は6割へ!?

消費税の税率が2019年10月から10%に改正される事が予定されているなど、消費税の増税の議論ばかりが先行していますが、「社会保険の制度を効率的にするにはどうすればよいか」「年金や介護、医療などの制度に欠陥はないか?」といった事はあまり議論されていない印象があります。

高齢化社会を迎えているなかで、選挙権を持っている高齢者いじめをすると政治家生命が脅かされるからなのか、本質的な議論はいつも先送りです。

日経新聞の調査によれば、30年後には、給料から天引きされる税金と社会保険の負担率は6割くらいにしないとシステムを維持できないとの予想もあるそうです。

若者が今後どんどん少なくなっていく一方、高齢者がどんどん増え続けてさらに医療技術の発達によって平均寿命も延びていくとすれば、その分若者1人からたくさんお金をとらないと年金を支給することができなくなります。

払った年金より、もらう年金の方が3000万円も少ない!?

サラリーマンが加入している厚生年金で考えると、1940年代生まれの人(現在75-80歳)は、払った保険料よりも生涯で受け取る年金額の方が3000万円くらい多くなるという試算があるそうです。

これに対して、2010年代生まれの人(現在小学生)は、払う保険料の方がもらう年金よりも3000万円多くなるそうです。

少子高齢化が続いていく中で、どこかで自分で将来の老後資金を積み立てていく制度に変えなくてはいけません。それでも現制度のように、長生きした高齢者は死ぬまで年金をもらい続けてよいのでしょうか?

相続税の増税という議論は、高齢者からお金を回収する苦肉の策なのかもしれません。

The post 2018年税制改正!配偶者が扶養から外れる上限をわかりやすく解説!! first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/77/feed 0
青色申告と白色申告とは?違い5つとメリット・デメリットを徹底解説 https://yokohamabiz.com/archives/73 https://yokohamabiz.com/archives/73#respond Mon, 12 Mar 2018 05:07:55 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=73 個人事業主の方は毎年、確定申告をして納める税金を税務署に報告して、納税する義務があり、申告方法は、青色申告と白色申告の2つの方法があります。 青色申告は事前の届けなど負担が大きく、面倒な手続きもありますが、その反面、税金 […]

The post 青色申告と白色申告とは?違い5つとメリット・デメリットを徹底解説 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
個人事業主の方は毎年、確定申告をして納める税金を税務署に報告して、納税する義務があり、申告方法は、青色申告と白色申告の2つの方法があります。

青色申告は事前の届けなど負担が大きく、面倒な手続きもありますが、その反面、税金の面でメリットがある申告方法です。一方で、白色申告は記帳の手間は青色申告より楽ですが、税金の面でのメリットはありません。

ここでは、青色申告と白色申告の違い、メリット・デメリットを徹底的に解説します。

青色申告とは?

青色申告の概要は以下のようになります。
1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。

決められた方法で記帳を行い、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。青色申告をすることができる人は、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。

参照元:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2070.htm

白色申告とは?

青色申告を行わない申告者のことを白色申告者といいます。
年収が300万円を超えない白色申告者は、記帳や帳簿保管の義務がないなど、簡易的に手続きができるメリットがありました。しかし、平成26年1月より制度が変更になり、事業所得、不動産や山林取得のある白色申告を行う全ての人が、帳簿等書類を保管しなければならなくなったので、注意が必要となります。

青色申告と白色申告の違い5つ

青色申告と白色申告の違いは以下の5つになります。
・帳簿記入の方法
・事前の届け出
・書類の作成
・専従者給与
・純損失の繰越控除

それぞれの具体的な内容について、確認してみましょう。

①帳簿記入の方法

青色申告も白色申告も、帳簿付けが必要ですが、白色申告は簡単な「単式簿記」で行います。青色申告はやや複雑な「複式簿記」ですが、控除額が最大65万円と大きく、節税効果が期待できます。

ただし、青色申告も「単式簿記」を選択することが可能で、その場合の控除額は10万円となります。

②事前の届け出

青色申告を行うためには事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を、税務署に提出する必要があります。白色申告は届け出を提出する必要がなく、届け出を提出しない場合は自動的に白色申告になります。なお、青色申告を行うためには期限もあるため注意が必要です。

③書類の作成

確定申告の際、青色申告をする場合は「青色申告決算書」、白色申告をする場合は「収支内訳書」を作る必要があります。この青色申告決算書もしくは収支内訳書は、確定申告書と一緒に税務署に提出する必要があります。

④専従者給与

専従者給与とは、生計を一にする(生活費が同じ家計から支払われているなど)配偶者や親族が、納税者の行う事業を手伝っている場合に、一定の条件のもと、支払った給与を必要経費として差し引くことができる制度です。

青色申告をする場合は、事前に届出をすることで給与の全額を経費にすることができ、白色申告をする場合は、専従者1人あたり50万円(配偶者は86万円)が限度となります。

⑤純損失の繰越控除

純損失の繰越控除とは、赤字分を全所得から差し引いても残額がある場合、その損失額を翌年から3年間、繰り越して控除できる制度です。青色申告の場合は、繰り越した金額は、利益の出た年の所得金額と全額相殺できますが、白色申告の場合は、変動所得や被災事業用資産の損失に限り、繰越控除が可能となります。

青色申告のメリット8つ

青色申告のメリットは以下のようになります。

①青色申告の特別控除を受けることができる

青色申告では、最高65万円の特別控除を受けられます。青色申告で65万円控除を受けるためには、 複式簿記で帳簿づけを行い、作成した帳簿を一定期間保管しておく事が必要です。(青色申告でも複式簿記ではなく簡易簿記の帳簿付けは可能です。しかし、その場合は青色申告の最大のメリットとも言える「65万円の特別控除」は受けられませんが、10万円の控除と、その他青色申告特有の控除は受けられます。)

②赤字を3年間繰り越して収入と相殺できる

青色申告で事業を開始した1年目は赤字が200万円あった場合、2年目に黒字で200万円が出た場合、2年目の事業所得を0円として計上でき、所得税の課税はなしになります。

③貸倒引当金を利用できる

青色申告で売掛金が回収できなくなった場合を予想して、回収していない売掛金の一部を費用として計上でき、所得税の課税を少なくできます。

④少額減価償却資産を一括で費用計上できる

備品や建物の購入などに使った経費は10万円以上になると原則として一括費用計上ができませんが、青色申告を選択している場合は30万円未満のもの経費であれば、年間で300万円まで一括で費用として計上することができます。

⑤家族従業員の給料を経費にできる

青色申告では、家族を従業員にしている場合、専従者給与を経費として計上でき、課税対象額から差し引くことができるため、所得税上、大きな節税効果があります。ただし、事業者と生計を一にしていて、年齢が15歳以上という条件があり、支払える給料は「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した範囲までなので、注意が必要です。配偶者控除を受けられなくなるなどデメリットもありますので十分お気を付けください。

⑥家事按分を利用できる

青色申告では自宅をオフィスにしている場合は、家賃や光熱費も経費として計上できます。ただし、すべての金額を計上できるわけではなく、事業用に使用しているスペースや割合のみなので、注意が必要です。

⑦現金主義を利用できる

通常、売り上げや必要経費を記帳する際は、取引きが「発生」したタイミングで記録する「発生主義」という方法を採用しなければなりません。これに対して、実際に現金の入出金があったタイミングで記帳する方法を「現金主義」と呼びます。

仕入れのためにクレジットカードで商品を購入した場合、「商品購入時」と「カード利用代金の引落時」の両方を記録するのが発生主義で、「カード利用代金の引落時」のみを記録するのが現金主義になります。

青色申告の場合、前々年分の不動産所得と事業所得の合計金額が300万円以下であれば、現金主義による方法で記帳することが認められています。ただし、その場合、青色申告特別控除の金額は10万円となります。

⑧低価法を利用できる

原則、棚卸資産を評価する際は、原価法という商品購入時の価格で行う必要があります。青色申告の場合は、「原価法で行った評価」と「期末時点の在庫の時価」のいずれか低い価格で評価を行う「低価法」という方法を選択することができるため、評価損を計上することができます。

青色申告のデメリット

青色申告を行うには、青色申告承認申請書を提出する必要があり、手続きが面倒なのがデメリットです。手順は以下のようになります。

ステップ①:青色申告承認申請書の提出

青色申告を行う前には、青色申告承認申請書を提出して、税務署に届け出る必要があります。青色申告承認申請書とは、青色申告を受ける場合に、最初に提出すべき書類です。

<青色申告承認申請書の提出期限>
青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告をしたい年の3月15日までになっています。ただし、その年1月16日以後新たに業務を開始した場合は、その業務を開始した日から2か月以内になります。

ステップ②:損益計算書と貸借対照表の作成

青色申告を行うには、損益計算書と貸借対照表を作成する必要があり、この作成も手間がかかり、デメリットであるといえます。

<損益計算書の作成>
損益計算書の1ページ目には、売上と売上原価、経費、各種引当金等、青色申告特別控除額、2ページ目には、月別売上(収入)金額及び仕入金額、給料賃金の内訳及び専従者給与の内訳貸倒引当金繰入額の計算、青色申告特別控除額の計算、3ページ目には、減価償却費の計算、利子割引料、地代家賃、税理士・弁護士等の報酬を記入します。

<貸借対照表の作成>
貸借対照表(決算書4ページ目)には、資産の部、負債・資本の部、製造原価の計算に区分して、具体的な内容を記入します。

白色申告のメリット3つ

①記帳の方法が比較的、簡単にすむ

所得税法上、白色申告と青色申告のいずれを選択しているかに関わらず、日々の売り上げや必要経費などの記帳は必要です。しかし、白色申告であれば一部の金額をまとめて記載するなどの「簡易な方法」による記帳が認められています。青色申告で必要とされる「複式簿記」と比べると、記帳する手間を少しは省くことができるでしょう。

②事前に承認を得る必要がない

白色申告は税務署から事前に承認を得る必要もないため、青色申告と比べて手続きが簡単です。このように、白色申告は青色申告よりは手軽だということが唯一のメリットといえるでしょう。

③収支内訳書の作成は手間が少ない

一年間の記帳した結果の白色申告の提出書類である収支内訳書は、青色申告提出書類の青色申告決算書と比べると多少手間が少ないです。なぜなら、収支内訳書には貸借対照表(資産、負債、資本)のページがないことがあげられます。白色申告では1年の売上と費用と利益だけを計算すればよく、過去からの事業の累積の数字、つまり資産や負債や資本がいくらあるかを計算する必要はありません。

そもそも、単式簿記は基本的に現預金の出入りを記帳するものであるため、例えば固定資産の減価償却を表現することができません。一方複式簿記はルールに従って仕訳を作成するだけで年度末に自動的に貸借対照表が作成されます。

白色申告のデメリット4つ

①青色申告の特典を受けられない

白色申告のデメリットは、節税効果の高い「青色申告の特典」を受けられないということです。青色申告では、簡易簿記では10万円、複式簿記ならば65万円の控除が受けられます。

②赤字を3年間繰り越すことができない

青色申告をすると赤字を3年間繰り越すことができます。特に、事業を始めたばかりでしばらく赤字が続くような個人事業主にとってはお得な制度です。白色申告では赤字を繰り越すことができません。1年目に赤字1000万円、2年目に黒字500万円であれば青色申告の場合は2年目も所得税がかかりませんが、白色申告の場合は500万円の利益に対する所得税が発生します。

③専従者がいる場合の節税効果が低い

専従者に給与を支払う場合、青色申告は支払った給与を全額個人事業の経費にできる一方、白色申告では固定額しか経費計上できません。

④経費計上できる上限が低い

白色申告の場合は10万円以上のものを購入した場合は固定資産として計上し、複数年に分けて減価償却として費用処理が必要になりますが、青色申告の場合は「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という制度により、30万円未満まで一括費用経費計上が認められます。

どちらがお得?青色申告と白色申告の選択基準

青色申告と白色申告のどちらで申告するほうがお得なのでしょうか。税制上のメリットをとるには、青色申告を選択するべきでしょう。しかし、青色申告の場合は、事前の「申請書の提出」と「帳簿付け」、「決算書の提出」が必要となります。

白色申告から青色申告への変更

白色申告から青色申告に変更しようと検討している人は、管轄する税務署に「青色申告承認申請書」を出す必要があります。また、青色申告をするための帳簿なども記帳していくことが必要です。こうした手続きや準備についても、あらかじめ確認をしておきましょう。その段階で、自分の事業の規模や状況と照らし合わせ、どの方法で申告するのが適切なのかの判断をすることが大切です。

会計ソフトの利用

青色申告での記帳は、会計ソフトなどを使えば簡単です。会計ソフトを利用すれば、日々の支出と収入を入力するだけで、その取引を複式簿記の形にしてくれるので、簿記のルールを知らなくでも対応することができます。青色申告決算書も、帳簿へ正確に記入してあれば、自動で作成することができます。会計ソフトへの入力後は、印刷して税務署に提出するだけで、作業完了です。

まとめ

平成26年から、記帳と帳簿の保管制度が変更となったため、白色申告にし続けている人にとっては、青色申告への切り替えのタイミングであるといえます。なぜなら、青色申告でも白色申告でも記帳を行う必要があり、青色申告を行うことで税金上の様々なメリットを得ることができるからです。

よって、これを機会に青色申告に変更して、所得税を節税する対策を講じたほうがよいでしょう。

The post 青色申告と白色申告とは?違い5つとメリット・デメリットを徹底解説 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/73/feed 0
青色申告の領収書とレシートの取扱いと保管方法 https://yokohamabiz.com/archives/70 https://yokohamabiz.com/archives/70#respond Mon, 12 Mar 2018 04:06:24 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=70 個人事業主が青色申告を行う場合の領収書レシートの取扱いと保管方法はどうすればよいのでしょうか。領収書の宛名の有無、書きかた、領収書がない場合の扱いについて解説します。また、領収書の保管期間や保存方法についても確認します。 […]

The post 青色申告の領収書とレシートの取扱いと保管方法 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
個人事業主が青色申告を行う場合の領収書レシートの取扱いと保管方法はどうすればよいのでしょうか。領収書の宛名の有無、書きかた、領収書がない場合の扱いについて解説します。また、領収書の保管期間や保存方法についても確認します。

青色申告で領収書の提出は必要?

青色申告で領収書の提出は必要ありません。青色申告の場合には「確定申告書B」と「青色申告決算書」を提出します。ただし、必要に応じてその他の申告書類を提出する場合があります。

また、領収書や納品書、銀行通帳などの書類、作成した帳簿は提出しません。これらの書類は、後に税務調査などが入る場合に備えて保存しておくものです。そして、確定申告の時に提出はしませんが、確定申告が終わっても保存しておく必要があります。

青色申告の領収書の保存と税務調査

青色申告の場合は、帳簿、決算関係書類、取引関係書類は7年間、その他の見積書、注文書などは5年間、 保存しておく義務があります。税務調査については、個人事業主が提出した確定申告書類を税務署員がチェックし、事業の売上高や必要経費のバランスを見て疑問をもった場合などに連絡がきます。儲かっている事業主が優先的に税務調査の対象となることが多いですが、青色申告の対象者は全般的に対象となりやすいです。

領収書が認められる要件と宛名の書き方

「上様」という書き方は認められる?

領収書の宛名に「上様」と記入してもらう慣習がありますが、税法上宛名を記入する欄のない機械発行によるレシートであったとしても領収書として認めてもらえることから、「上様」と記入するのは間違いではないです。

しかし、宛名が「上様」としてある領収書を当事者以外の第三者が確認したときに金銭授受の具体的なやり取りが判読できません。よって、信憑性の高い書類とは言い切ることができないので、避けたほうがよいでしょう。

宛名なしの領収書は認められる?

宛名が空欄であったり、領収書の作成を依頼する際に宛名を「上様」と記入してもらっている領収書を宛名なしの領収書といいます。宛名なしの領収書は、業務と支払い内容に関連性があるかどうかで、経費として認めるかを判断します。
よって、経理上は宛名がない領収書であっても特に問題はないとされています。しかし、会社の規定によって、宛名なしの領収書やレシートが経費として認められないケースもあるので、注意が必要です。

宛名なしの領収書の扱い

経理上は認められる領収書であっても、税務調査の際に認められるかどうかは別問題となります。税務調査の場合は、疑問が生じる余地があると細かく追及される可能性があるので、できる限り領収書には宛名があることが望ましいでしょう。

また、宛名なしの領収書を紛失した場合、宛名がないため、拾った人が自身のものとして領収書を使うことも考えられます。領収書が悪用されないように、宛名を記載してもらうほうがよいでしょう。また、宛名が空欄の場合に受取人が自分で記入することは文書偽造にあたり、認められません。

領収書に宛名を正しく書いてもらうための注意点

領収書は支払いの証明となる書類ですが、宛名がないと領収書の発行側がだれから支払いを受けたのかを特定できないため、二重に請求される場合もあります。したがって、正しい宛名を書いてもらった方が望ましいといえます。

しかし、領収書の作成をお願いして、発行側が勝手に上様宛の領収書を書いていたといったこともあるでしょう。この場合は、領収書の作成を依頼する際には、会社名や個人名などを記入したメモを渡す、名刺を見せるなどの工夫をし、記入してほしい宛名を作成者に伝えるとよいでしょう。領収書に宛名がないことで、さまざまなデメリットが発生する可能性があるため、領収書を受け取る際には、宛名が正確に記載されているかを確認するべきでしょう。

領収書がない場合は経費に入る?レシートの取扱いは?

領収書の発行が難しく、下記のような場合、経費でも領収書が発行されません。
・電車やバスに乗るときに支払う運賃
・得意先訪問前に情報をチェックするため駅の売店で買った新聞や雑誌
・関係先のご祝いやご不幸での、ご祝儀や香典

また、発行してもらった領収書を紛失してしまった場合、領収書なしやレシートなしの状態での出費を経費にするためには、出金伝票を発行しておくとよいでしょう。

領収書がなく、レシートしかない場合でも経費として認められますので、その場合はレシートを保管しておきましょう。

出金伝票の発行

出金伝票は、会計処理をした後も、税務書類と一緒に資料として保存する必要があります。交通費は業務日報で、一緒に保存するようにします。また、案内状やビジネス・セミナーの入場チケットなども、それだけでは証拠書類になりにくいですが、出金伝票と一緒に保存すれば、有効な証拠書類になります。

現金出納帳と出金伝票の併用

領収書やレシートの受け取りができなかったというのは、現金で支払っているケースが多いのではないでしょうか。現金での支払いであれば、出金伝票以外に現金出納帳への記帳を行うとよいでしょう。

現金出納帳は現金の出金・入金が時系列に記載されているので、適正な会計処理のなかで出金伝票が起こされていたことを示す証拠になります。出金伝票と現金出納帳を組み合わせれば、領収書やレシートに引けを取らない証憑書類になります。

現金以外の電子決済などでの支払い

電子決済などの領収書なしのキャッシュレス支払いはひと手間かける必要があります。

<ICカード乗車券など>
JR東日本の「モバイルSuica」では、定期券や新幹線の乗車券・グリーン券・特急券をキャッシュレスで購入でき、手間も時間も少なくて済みます。領収書の発行がないこのサービスを経費にするには、パソコンで利用明細(領収書)を印刷して出金伝票に添付する方法があります。

<ETC利用料金>
ETCを利用した際には、後日クレジット会社から送付されてくる請求書に利用明細が添付され、領収書の代わりになりますが、タイムラグがあるので不便です。このような場合、インターネットの「ETC利用照会サービス」では過去2ヶ月間の利用証明書を発行することができるので、活用するとよいでしょう。

青色申告の領収書の保管義務と保管期間

青色申告の領収書の保管義務と保管期間について、消費税法上の扱いと白色申告での扱いと比較しながら、確認してみましょう。

そもそも領収書とは?

領収書とは、サービスや商品の代金を受け取る際に発行する書類で、証憑(しょうひょう)書類と呼ばれており、金銭の受け渡しの証明となります。証憑書類は、保存期間が決められているため、勝手な判断で処分することはできず、保管義務があります。

保存期間は法人と個人事業主とでは異なり、消費税の仕入れ税額控除の適用を受けている場合は保存期間に注意する必要があります。ここでは、個人事業主の場合について、確認します。

個人事業主における領収書の保存期間

個人事業主における領収書の保存期間は所得税法で定められていますが、期間が白色・青色申告で異なるため、それぞれの場合に分けて解説します。

白色、青色どちらの場合においても保存期間の起算点は、確定申告の期限日であり、領収書の発行日ではないので、注意が必要です。

白色申告の場合

白色申告の場合における領収書の保存期間は5年です。2014年1月以降は、今まで保存義務のなかった「事業所得が300万円以下の場合」であっても、保存することが義務付けられました。そのため、白色申告対象者は、所得に関わらず領収書を5年間保存しなければなりません。なお、法律で定められている保存期限は5年間ですが、他の帳簿は7年間の保存が義務付けられているため、可能であれば領収書であっても7年間保存したほうがよいでしょう。

青色申告の場合

青色申告の場合、領収書は「現金預金取引等関係書類」に属し、その保存期間は7年間になります。ただし、例外として、前々年の所得が300万円以下の場合は、5年間とされています。

消費税の仕入れ税額控除を受けている場合

消費税の仕入れ税額控除とは、仕入れや流通の段階で消費税を何重にも課税されるのを防ぐための制度で、仕入れにかかった消費税を、支払うべき消費税から控除することができます。この消費税の仕入れ税額控除の適用を受けている場合は、消費税法で仕入れに関する領収書の7年間の保存が義務付けられています。

領収書の保存期間における注意点

白色申告や一部の青色申告者は、所得税法で領収書の保存期間が5年間となっています。保存期間が長い法律が優先され、消費税の仕入れ税額控除の適用を受ける場合には、7年間にわたり帳簿と請求書や領収書などの保存義務があります。

請求書や領収書がないと、消費税の仕入れ税額控除が受けられない場合があり、消費税の負担が増えるので、注意が必要です。

なお、領収書の金額が30,000円未満の場合や、やむを得ず請求書を受領できなかった場合には保存義務は生じません。

領収書の保管方法

領収書の保管時には、プライベートのものと事業用のものに分けて保管することが必要です。プライベートのものは経費とならないので、注意が必要です。また、領収書の保存方法は、原則は紙で保存することが求められていますが、電子取引であっても、紙に印刷して保存する必要があります。

しかし、最近では電子化、クラウド化の流れに従って税務証憑も電子(PDF)での保存が可能となっています。この場合、事前に税務署長の承認を得て適切な手続きを行なえば電子データでの保存が可能になります。紙以外の媒体で保存を希望する場合は、電子保存を検討しましょう。

書類の電子保存(PDF保存)

平成27年の税制改正により書類をスキャナ保存することが可能になりました。書類の保管コストは費用がかかりますので電子帳簿(PDF)で保存すればコストの削減につながります。改正されたスキャナ保存の概要とはどのようなものなのでしょうか。

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存とは

領収書、請求書、見積書などの国税関係書類についてスキャナで保存することです。書類内容を税務署の承認を受けた場合に保存が認められています。今回要件が緩和されたことにより、利用がしやすいものになりました。

書類の対象が広がる

契約書、領収書、請求書のすべてが対象になります。今までは3万円未満というのが条件でしたが、これが廃止されました。注意事項として相互けん制、定期的なチェックや再発防止策の整備が必要です。

これまでは、いわゆる専用スキャナ「原稿台と一体となったもの」で作成した画像しか、スキャナ保存としての要件を満たしませんでしたが、平成28年の改正で、スマートフォンで撮影した画像を保存した場合でも、スキャナ保存としての要件を満たすこととなり、一層領収書の電子保存が楽になりました。

電子帳簿保存に関しては法律が毎年改正され個人でフォローしていくのは難しい状況ですので、法改正に対応したクラウドサービスを利用するのがおススメだと思います。

まとめ

青色申告で領収書の提出は必要ありません。しかし、後に税務調査などが入る場合に備えて保存しておく必要があります。また、領収書として認めてもらう要件を満たしている必要があります。認められない場合、経費と認められなくなるからです。そして、決められた保管方法で保管し、保存期間も決められているので注意が必要です。

The post 青色申告の領収書とレシートの取扱いと保管方法 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/70/feed 0
仮想通貨(ビットコイン)の確定申告を専門家が徹底解説!必要書類・申告方法 https://yokohamabiz.com/archives/63 https://yokohamabiz.com/archives/63#respond Fri, 29 Dec 2017 01:15:54 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=63 ビットコインの上昇のニュースが世間を騒がせていますね。 2014年にマウントゴックス社が経営破綻した際は、1ビットコイン=5万円程度だったのですが、現在は1ビットコインが200万円を超えるなど、仮想通貨バブルの値動きを見 […]

The post 仮想通貨(ビットコイン)の確定申告を専門家が徹底解説!必要書類・申告方法 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
ビットコインの上昇のニュースが世間を騒がせていますね。
2014年にマウントゴックス社が経営破綻した際は、1ビットコイン=5万円程度だったのですが、現在は1ビットコインが200万円を超えるなど、仮想通貨バブルの値動きを見せています。

先日、堀江貴文さんこと、ホリエモンのトークセミナーを聞きに行ったのですが、彼はイーサリアム、ビットコインなどの仮想通貨(ビットコイン以外の仮想通貨はアルトコインとも言う)が、日本で話題になる前から興味を持っており、自身のブログやメディアなどでたびたび紹介していたようです。

彼自身いくつかの仮想通貨を保有しているそうですが、そのすべてをきちんと確定申告で報告しているとの事でした。

日本では、3億円以上の不動産を保有していたり、1億円以上の有価証券や投資信託を保有する人は「財産債務調書」と呼ばれる保有している財産を、申告しなければいけない制度があるのですが、ホリエモンの場合、銀行預金や株式以外にも、仮想通貨を財産として報告しているそうです。

彼の場合は、証券取引法違反で逮捕歴がありますし、社会的な影響力が大きいでしょうから、2度とやましい事はしないというスタンスなのでしょうね。

法律を規定する段階では、仮想通貨の財産報告は予定されていなかったでしょうけど、おそらく仮想通貨も「財産債務調書」に記載する必要があると思われます。

仮想通貨(ビットコイン)の確定申告は必要?

日本国内で生活している人が仮想通貨で利益を得た場合は、そのすべてが日本で確定申告の対象になります。仮想通貨の取引所が海外にあったとしても、そこで得た利益は日本で課税の対象となることに注意する必要があります。

基本的には雑所得と呼ばれる区分に分類されて、税率は利益の金額に応じて最高55%の税率(住民税含む)で税金が課されます。
副業的な話ではなく、プロの仮想通貨トレーダーとして本業で仮想通貨取引をしている方の場合は事業所得という区分で良いという回答が出ています。ただしこの場合も税率は、利益の金額に応じて最高55%の税率(住民税含む)で税金が課されます。

このことは、国税庁がホームページでも周知徹底していますので、仮に申告を行わないで後で調査が来た際に知らなかったといっても済まされません。

ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[平成29年4月1日現在法令等]
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
(所法27、35、36)

引用先:国税庁タックスアンサーより

確定申告の必要な人・必要ではない人の違い

基本的には仮想通貨(ビットコイン)で利益が得た場合には、確定申告をする必要がありますが、あなたがサラリーマン(1か所から給与の支払を受けている人)で、仮想通貨(ビットコイン)を含む年間の所得の金額の合計が20万円以下の人は、仮想通貨で得た利益について申告する必要がありません。(住民税は20万円以下でも申告が必要です。)

仮想通貨(ビットコイン)については、日本円やUSドルに換金するという以外にも、実際に、電子マネーとしてビックカメラ等でも使用することができます。

電子マネーとして使用し、買い物などに使ってしまったという場合でも、含み益が利益として認識されたと判断され、課税の対象となってくるので注意が必要です。

仮想通貨(ビットコイン)の確定申告における必要書類一覧

仮想通貨を確定申告する際には以下の書類が必要になります。

①仮想通貨取引CSV履歴
②仮想通貨取引以外の所得の明細
(給与所得者であれば勤務先からの源泉徴収票となります)
③医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税を含む)、住宅ローン控除など控除証明書
④確定申告書A (税務署でもらう)

確定申告(ビットコイン)の確定申告方法5ステップ

仮想通貨について確定申告をする場合には以下のポイントを注意しながら行っていきましょう。サラリーマンの方で、副収入的に仮想通貨で利益が出た人を想定して記載をしますので、個人事業主だったり、株式トレーダーなど他の所得もある場合にはこれ以外のステップもあることに注意が必要です。

ステップ①:仮想通貨取引の損益を集計する

仮想通貨の取引所では、マイページで年間取引報告書を、CSVもしくはHTMLのような形でデータを集計できるような形になっていることがほとんどだと思います。こちらの計算対象期間を2017年1月1日から2017年12月31日までと指定して、データを抽出(エクスポート)します。ただし、仮想通貨で厄介なのは損益の計算方法が良く分からないという事なのです。

それは、株やFXの場合には、基本的に1つの取引所の中で売買が完結しますが、仮想通貨の場合には複数の取引所、ウォレットなどに移管することがあり得るからです。また、一部の取引所では「取引報告書」や「取引履歴」を確認できない場合があると言います。

そのため、仮想通貨を買った時、他の仮想通貨へ変換した時、仮想通貨で物を買った時などのタイミングでの損益を、都度 自分で計算して把握しておく必要があるということです。

これは実際にやってみるとわかりますが、大量の売買で都度損益を計算していくのはかなり大変な作業なんですね。

ステップ②:複数の仮想通貨を取引している場合の損益の合算

あなたがビットコインだけではなくイーサリアムなど他の仮想通貨の取引も行っている場合には、すべての仮想通貨についてデータを抽出して利益を確認していきましょう。

複数の仮想通貨取引をしている方で、例えば利益の出た通貨と損失の出た通貨の両方がある場合には損益を相殺することが可能となります。

ステップ③:雑所得金額の集計

仮想通貨の利益については「雑所得」として計算しますが、その雑所得の「仮想通貨で得た1年間の利益から必要経費を差し引いたもの」が対象となります。

雑所得=1年間の利益ー経費

ステップ④:給与所得(源泉徴収票)の確認

勤務している会社から、12月の給与支払いの際(1月の場合もある)に源泉徴収票を受け取っていると思います。
この源泉徴収票には、1年間の給料の合計だけではなく、支払った所得税の金額、保険料や年金の金額、生命保険料など重要な情報が記載されていて、確定申告の際に必ず必要な書類となります。

この源泉徴収票を確認して、国税庁の確定申告書の作成ページより、必要事項を入力していきましょう。

国税庁「確定申告書作成ページ」
https://www.keisan.nta.go.jp/h28/ta_top.htm#bsctrl

ステップ⑤:確定申告書の作成提出

確定申告書に集計した数字を書いて、確定申告書を仕上げ、税務署へ提出します。

確定申告(ビットコイン)の確定申告で節税は可能?

仮想通貨での取引であってもきちんと準備を行うことで節税することは可能となります。

前述したように、仮想通貨の利益については「雑所得」として計算しますが、雑所得の計算は「仮想通貨で得た1年間の利益から必要経費を差し引いたもの」となります。

極端に言うと、1年間で得た仮想通貨による利益が300万円だったとして、それに対する必要経費が300万円掛かっていたとすると、「仮想通貨の税金は支払わなくて良い」と言う事になります。

仮想通貨の利益がある方は、必要経費を上手に申告することで、場合によっては税金の支払いに大きな差が生まれるので、節税のためにも必要経費の存在を覚えておく必要があります。

必要経費として申告できる可能性があるもの

必要経費として申告できる可能性があるものとして、主に下のようなものが有ります。

・パソコン・スマートフォン購入代金
・セミナー経費
・交通費
・資料代・新聞代
・電話代・プロバイダー費用
・筆記用具
・取引手数料

「そんなものまで必要経費としてみてしまって良いの?」と、思われるものもあるかも知れませんが、「仮想通貨で利益をだすために必要不可欠な費用」であれば必要経費として認定される可能性があります。

■パソコン・スマートフォン購入代金
仮想通貨の取引にはパソコン(場合によってはスマートフォン)は必要不可欠なものになります。ただしパソコンやスマートフォンは仮想通貨の取引以外に娯楽的用途としても使う事ができるものなので、何処まで必要経費として認められるか微妙なところとなります。

■セミナー経費
仮想通貨の取引セミナーや初心者用の講演などを受けるための費用です。
有料セミナー等を受講し、「そのセミナー内容で利益を上げる事ができた」と考える事ができるので、必要経費として認められる可能性があります。

■旅費・交通費
プライベートで使った交通費ではなくて、仮想通貨取引のために必要な交通費ということですので、都内で行われたセミナーへの旅行費や交通費などとなります。

■資料代・新聞代
経済ニュースや各種指標等のデータを入手する時に必要だった情報に関する必要経費です。
例えば、有料会員しか読めないようなメルマガや情報商材、専門書籍代が経費として考えられます。

■電話代・プロバイダー・回線費用

■筆記用具

■取引手数料
取引所で通貨交換をする際に取引手数料などが発生する場合にはこれに当てはまります。
仮想通貨取引は、取引所に一定の手数料を支払う事で取引を成立させていますが、その手数料についても必要経費として申告できます。

必要経費の注意事項

ここまで幾つかの例を紹介しましたが、基本的に「必要経費」に関しては明確なガイドラインと言ったものは有りません。

また、確定申告をする際は領収書や現金支出証明などしっかりと記録を残しておき、いつ・どのような用途で支出した費用なのかを明瞭に記録しておきましょう。年に1度の事なので時間をかけてやっておきたいところです。

確定申告(ビットコイン)の確定申告はしなくてもバレない?

ビットコインは他の取引と違って、脱税しやすい?バレにくいんじゃないか?という見解があります。その辺は正直まだよく整備されていないのでわかりません。

例えば、読者の中には株の売買をされている方もいらっしゃると思います。
野村證券やSBI証券など証券会社から、年明けになると毎年「特定口座年間取引報告書」が送られて来ると思います(場合によってはインターネットのマイページから自分で確認する場合もあります)。

この「特定口座年間取引報告書」については証券会社から税務署に報告がされています。
すなわち株の売買についての情報は、証券会社から税務署に報告する義務があるので、あなたが確定申告に記載しなかったとしても税務署に情報は筒抜けです。

また仮想通貨と似たような取引としてFXがあります。
FXについてもFX会社から、ユーザーの取引損益等を記載した「支払調書」が税務署に提出されています。つまり誰がいくらの利益を上げているのかを税務署は把握しています。

これに対しビットコインは取引所から税務署に、ユーザーの損益を報告する制度はありませんので、仮に利益を申告しなかったとしても、すぐに税務署が脱税を発見する事は難しそうです。

しかし、これについては単純に法整備が追いついていないだけで、すぐに報告義務の法律が整備されるはずです。

現に、FX取引についても最初は報告義務がありませんでしたが、後に法整備が行われたという事がありました。

ということは、少なくとも今年については、税務署は仮想通貨取引の利益を把握できないことになりますね。だからといって、悪いことを考えるのはやめましょう。

税務署からの調査っていつ来るの?

税務署からの問い合わせは、通常確定申告した年の秋~冬頃にあります。
ドラマなどでのイメージのように、いきなり税務署の方が自宅に来るという事はまずありません。

通常は「税務署からのお尋ね」という形で、書面での調査が一般的です。税務署からお手紙が送られてきます。

通称「お尋ね」は任意調査という形ですので回答は必ずしも必須ではありませんが、万が一お尋ねがきてしまった場合は、早急に対応された方が良いです。

税務署は、金融機関や証券会社、あなたの資産状況などを把握しているので、もし任意回答をしなかった場合には、電話での問い合わせになったり場合によってはあなたの自宅に訪問されるなどもっと悪い展開になる可能性があります。

お尋ねや調査が来てしまった方から、税理士に相談が来ることも良くあります。
お客様はとにかく、どうしようと悩まれている、顔面蒼白、パニックになられるなど様々ですが、その多くが税理士が代理人になって、税務署との間に入り、修正申告を適切に行う事により解決できます。

修正申告をするなど適切な対応をすることで被害を最小限に抑えられることもあるので、必ず専門家に相談するようにしてください。

まとめ

仮想通貨(ビットコイン)に関する課税はまだまだ不透明なところあがありますし、実際は2017年の申告の際に初めて問題が露呈されるのではないかと思います。例えば、含み益を抱えたビットコイン(BTC)からリップル(REP)にトレードした場合でも、税金の世界では、そこで含み益が実現したものと考え課税が発生します。当然ですが、税金の納付は仮想通貨で行なう事ができません(日本円)ですので、現金がなくても納付が必要になります。

そうすると仮想通貨で利益を上げた人が納税するために、仮想通貨を一部現金に利確する動きも出てくるのかなと思います。

仮想通貨(ビットコイン)は本来、技術が称賛されるべきだと思いますが、どうしても相場が急騰すると値動きの方に注目が集まってしまいますね。法整備は後追いになるので、税金などバーチャルでの利益に対してリアルの世界でどのように課金していくのかという事は難しい問題になります。

クラウド公認会計士としては、新しい技術と法整備を日々注目していきながら、新鮮な情報を提供していければと思います。

The post 仮想通貨(ビットコイン)の確定申告を専門家が徹底解説!必要書類・申告方法 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/63/feed 0
青色申告の必要書類一覧と書き方を徹底解説【個人事業主の確定申告】 https://yokohamabiz.com/archives/57 https://yokohamabiz.com/archives/57#respond Sat, 23 Dec 2017 03:50:26 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=57 個人事業主の方は毎年、確定申告をして納める税金を税務署に報告して、納税する義務があります。納める税金は、今年はいくら売上があって、いくら経費を使って、いくら儲かったのかを計算します。 所得の計算と申告方法は、青色申告と白 […]

The post 青色申告の必要書類一覧と書き方を徹底解説【個人事業主の確定申告】 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
個人事業主の方は毎年、確定申告をして納める税金を税務署に報告して、納税する義務があります。納める税金は、今年はいくら売上があって、いくら経費を使って、いくら儲かったのかを計算します。

所得の計算と申告方法は、青色申告と白色申告の2つの方法があります。青色申告は事前の届けなど負担が大きく、面倒な手続きもありますが、その反面、税金の面でメリットがある申告方法です。税金は所得税だけでなく、住民税の金額も抑えることができます。

ここでは、具体的な青色申告の準備、必要な書類を確認します。また。必要な書類の作成方法と注意点を確認します。この内容を確認することで、確定申告書を自分で作成することができます。

青色申告のメリット3つ

①青色申告特別控除

青色申告で受けられるメリットとして、青色申告特別控除を受けることができます。控除額は、10万円控除と65万円控除の2種類があります。青色申告特別控除を受けることで、所得金額を少なくすることができ、節税効果が期待できます。

②純損失の繰越控除

青色申告を行うと、純損失を全額3年にわたって繰り越すことが可能になります。このことを純損失の繰越控除といいます。赤字になった年の損失を翌年に全額繰り越すことができるので、翌年以降の節税効果が期待できます。

③青色事業専従者給与

青色申告でない白色申告の場合は、個人事業を手伝ってくれる家族への給料を経費にすることができません。しかし、青色申告では家族への給料を全額経費にすることができます。
この事業を手伝ってくれる家族のことを専従者といいます。専従者に払う給料を専従者給与といい、所得金額を少なくすることができ、節税効果が期待できます。

青色申告を行う前に必要な手続き

青色申告を行う前に必要な手続きについて、確認してみましょう。

青色申告承認申請書の提出

青色申告を行う前には、青色申告承認申請書を提出して、税務署に届け出る必要があります。青色申告承認申請書とは、青色申告を受ける場合に、最初に提出すべき書類です。白色申告から青色申告に変更する場合でも、提出期日に注意し、早めに準備をして提出するようにしましょう。

<青色申告承認申請書の提出期限>
青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告をしたい年の、3月15日までになっています。ただし、その年1月16日以後新たに業務を開始した場合は、その業務を開始した日から2か月以内になります。

<青色申告承認申請書の記入内容>
青色申告承認申請書に記入するのは、納税する税務署名、提出日、納税地、氏名、生年月日などになります。

青色申告の必要書類一覧3つ

青色申告書に必要な書類は以下の書類になります。
①損益計算書
②貸借対照表
③確定申告書B

損益計算書と貸借対照表は決算書として扱います。
損益計算書は、3ページに分かれ、1ページ目には収益と費用の明細、2ページ目と3ページ目は内訳を記入します。

また、貸借対照表は4ページ目で財産の状況を記入します。
確定申告書Bには税金の計算プロセスを記入します。

青色申告書の書き方

青色申告書は、5種類で
・損益計算書(決算書1ページ目)、
・損益計算書の内訳(決算書2ページ目)、
・損益計算書の内訳(決算書3ページ目)、
・貸借対照表(決算書4ページ目)、
・確定申告書B
になります。

それぞれの書き方と作成時の注意点について、確認してみましょう。

損益計算書(決算書1ページ目)

損益計算書(決算書1ページ目)には、タイトルの部分の年数の数字(平成29年)を記入します。タイトルの下の部分には、業種名、住所、事業所在地(住所と同じであれば同上)、氏名、電話番号、加入団体名(青色申告会など)を記入します。損益計算書の左の欄には、作成日、右の欄には期間(自1月1日至12月31日)と記入します。

損益計算書の1ページ目には、売上と売上原価、経費、各種引当金等、青色申告特別控除額を記載します。

■売上と売上原価
「売上金額」は1年間の売上高、売上原価の「仕入金額」は仕入高を記入します。「期首商品棚卸高」は、期首時点の商品の金額、「期末商品棚卸高」は期末時点の商品の金額になります。これらの数字は、「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の「売上(収入)金額」の計の金額を元に記入していきます。

売上原価の計算は、期首商品棚卸高を組み入れて、期末商品棚卸高を引くことで実際に期間中に取引のあった額を求めます。また、売上から売上原価を差し引いた差し引き金額は、売上総利益とも言われます。単純に売上から売上原価分を引いた利益になります。

■経費
期間中の経費の合計を記載していきます。経費は、租税公課、減価償却費、各種引当金等
青色申告特別控除額前の所得金額と青色申告特別控除額を記入します。

■租税公課
消費税の課税事業者が、消費税及び地方消費税の経理処理を税込経理方式によっている場合に消費税等の納付税額があるときは、その納付税額を含めて、記入します。

■減価償却費
決算書3ページの「減価償却費の計算」の「本年分の必要経費算入額」の計の金額を記入します。

■各種引当金等
各種引当金等は、繰戻や繰入がある場合に使用する欄です。専従者給与を申請しており、専従者に給与を支払っている場合は、専従者給与の欄に金額を記載します。引当金や準備金で前年に繰入れや積立てをした金額又は一定の計算により取り崩した金額をそれぞれ、記入します。 引当金や準備金の勘定に繰入れや積立てをした金額をそれぞれ記入します。

■青色申告特別控除額前の所得金額と青色申告特別控除額
青色申告者の場合は、10万円または65万円の青色申告特別控除が発生するので、青色申告特別控除額に決まった金額を記載します。青色申告特別控除額は、決算書2ページの「青色申告特別控除額の計算」の欄の金額を記入します。

損益計算書の内訳(決算書2ページ目)

損益計算書の2ページ目には、月別売上(収入)金額及び仕入金額、給料賃金の内訳及び専従者給与の内訳貸倒引当金繰入額の計算、青色申告特別控除額の計算を記入します。

■月別売上(収入)金額及び仕入金額
売上と仕入の額を、1月ごとの総計で記載していきます。年間の売上と仕入のバランスを確認することが可能です。

■給料賃金の内訳及び専従者給与の内訳
延べ従事月数従事月数の合計を記入します。また、年末調整後の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の源泉徴収税額を記入します。なお、年の中途で退職した方などで年末調整が行われない方については、本年中に徴収した所得税等の源泉徴収税額を記入します。

給与賃金が発生した場合、従業員ごとに氏名や給与額などを記載していく必要があります。給与賃金と同様に専従者給与の欄も埋めていきます。なお、専従者給与の額については、先に提出している「青色事業専従給与者に関する届出書」の計算をベースに金額を記載する必要があるので、注意が必要です。

■貸倒引当金繰入額の計算
貸倒引当金は、売掛金や貸付金などが回収不能である可能性がある場合に設定する勘定科目です。

■青色申告特別控除額の計算
青色申告特別控除は、1枚目の青色申告特別控除額と同額が記載されているか確認しましょう。

損益計算書の内訳(3ページ目)

損益計算書の内訳(3ページ目)には、減価償却費の計算、利子割引料、地代家賃、税理士・弁護士等の報酬を記入します。

■減価償却費の計算
減価償却費の計算は、年度中に除却や売却をした減価償却費を記載する必要があります。個人の償却方法については、事前に申請書を提出していない場合は、定額法になります。
定額法とは毎年、同額の減価償却費を計上する方法です。定められた耐用年数に応じて計算し、償却費や残高を算出し、除却や売却、また均等償却や少額償却などの特例を使用した場合は、摘要欄にその旨を記載します。

■利子割引料
利子割引料とは、手形での割引料または、借入金の利子のことで、金融機関以外の利子割引料の記載が必要になります。

■地代家賃
地代家賃は、事務所やまたは事務所と使用している自宅を賃貸で契約している場合に記載が必要な項目です。家事按分を行っている場合は、必要経費算入額欄に経費として計上する分を記載します。なお、記載する金額は、年度中に支払いが確定した金額になります。

■税理士・弁護士等の報酬
税理士や弁護士に支払いがあった場合に記載します。税理士や弁護士に支払う報酬に関しては、支払う側が源泉徴収を行う必要があります。

貸借対照表(決算書4ページ目)

貸借対照表(決算書4ページ目)には、資産の部、負 債 ・ 資 本 の 部、製造原価の計算に区分して、具体的な内容を記入します。

<資産の部>

資産の部には、棚卸資産と事業主貸を記入します。

■棚卸資産
期首と期末の棚卸表から、それぞれの棚卸高を記入します。この場合、商品や製品、半製品、 仕掛品などのほか、消耗品費から除外した未使用の消耗品も含めて記入します。

■事業主貸
生活費その他の家事上の費用や所得税等、住民税など事業所得の必要経費にならない租税公課、商品などの家事消費の金額など本年中に事業から支出した金額の合計額を記入します。

<負債・資本の部>

負 債 ・ 資 本 の 部 には、預り金、事業主借、元入金、青色申告特別控除前の所得金額を記入します。

■預り金
専従者給与や他の使用人に支給した給与などから徴収した所得税等の源泉徴収税額のうち、まだ納付していない金額も預り金に含めて記入します。

■事業主借
事業資金として事業主から受け入れた金額や預金通帳に記帳されている利息などの事業所得以 外の収入で事業に受け入れたものの金額の合計額を記入します。

■元入金
期首の金額と期末の金額は同じ金額を記入します

■青色申告特別控除前の所得金額
決算書1ページの「損益計算書」の金額を記入します。 損益計算書と貸借対照表の青色申告特別控除前の所得金額は、必ず一致します。一致しない 場合には、記帳誤りや計算誤りの可能性があるので、記帳漏れや二重記帳又は転記誤りがないか確認する必要があります。

■製造原価の計算
製造原価の計算は、期首原材料棚卸高 期末原材料棚卸高、その他の製造経費、期首半製品・仕掛品棚卸高 期末半製品・仕掛品棚卸高、製品製造原価を記載します。

確定申告書B

確定申告書Bの作成について、それぞれの手順に従い、確認してみましょう。

住所、氏名などの基本情報を記載する

まずは、住所、氏名などの基本情報を記載します。

■税務署長
申告書の提出日における住所地等の所轄税務署名を記載します。 国税庁ホームページでは、各税務署の所在地及び管轄区域を掲載しています。
___年___月___日
申告書の提出年月日を記入します。

■表題
「平成 □□ 年分の所得税及び復興特別所得税の  申告書B」 の、□□ 内に「29」と記入し、空白に「確定」と記入します。

■住所
申告書の提出日における住所地の郵便番号と住所を記入します。

■平成◯◯年1月1日の住所
「平成◯◯年」の空白に「30」と記入し、平成30年1月 1日現在の住所を記入します。 平成30年1月1日現在の住所が上欄に記入する住所と異なる 場合は、必ず記入します。

■個人番号
自分のマイナンバー(個人番号)を記入します。

■氏名・フリガナ
自分の氏名とフリガナを記入し、押印します。 フリガナの濁点(゙)や半濁点(゚)は一字分とします。姓と名の間 は一字空けて記入します

■性別
性別を◯で囲みます。

■職業
職業を記入します。

■世帯主の氏名・世帯主との続柄
世帯主の氏名と世帯主からみた申告をする方の続柄を 記入します。

■生年月日
元号に対応する数字(下表)、年月日(各数字2桁)の順 に記入します。

■電話番号
連絡先電話番号を市外局番から記入し、その連絡先区分(自宅・勤務先・携帯)を◯で囲みます。

■種類
該当する全ての項目の文字を◯で囲みます。

■翌年以降送付不要
税務署から申告書用紙が送付されている方で、翌年以 降、申告書用紙の送付が必要のない方は、 ◯を記入します。

収入金額等、所得金額を計算する

収入金額等、所得金額は、メインとなる事業所得と不動産所得の概要と計算について、確認します。

■事業所得
事業所得の事業とは以下のものになります。
● 卸売業、小売業、飲食店業、製造業、 建設業、金融業、運輸業、修理業、 サービス業などのいわゆる営業
● 医師、弁護士、作家、俳優、職業野球 選手、外交員、大工などの自由職業
● 漁業などの事業 など

■所得の計算
事業所得の計算は、総収入金額から必要経費を差し引きして、計算します。第 一 表の金額は、青色申告決算書又は 収支内訳書から転記します。第 二 表には、「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」欄 の該当事項、「事業専従者に関する事項」 欄 の事業専従者の氏名、マイナンバー(個人番号)、生年月日 従事月数などを記入します。

■不動産所得
不動産所得とは、土地や建物、不動産の上に存する権利、船舶、 航空機などの貸付けから生ずる所得になります。また、不動産の貸付けに際して受ける権利金、更新料、 名義書換料なども不動産所得になります。借地権 などの設定により一時に受ける権利金などには譲 渡所得になるものがあります。

所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する

所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算して、記載します。ここでは、医療費控除
社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除について、確認します。

■医療費控除
医療費控除とは、自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために平成29年中に支払った医療費が、一定の金額以上ある場合の控除になります。

■社会保険料控除
社会保険料控除とは、自分と生計を一にする配偶者その他 の親族が負担することになっている次の社会保険料で、自分が支払ったり、自分の給与などから差し引かれたりした保険料がある場合の控除 健康保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療 保険料、介護保険料、労働保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料 など。

なお、 生計を一にする配偶者その他の親族が受け取る年金から引き落とし(特別徴収)されている国民健康保険料(税)や 後期高齢者医療保険料、介護保険料は、あなたの控除の 対象にはなりません。ただし、国民健康保険料(税)や後期高齢者医療保険料で、口座振替によりその保険料を支払った場合に は、控除の対象となります。

■生命保険料控除
生命保険料控除とは 新(旧)生命保険や介護医療保険、新(旧)個人年金 保険で、あなたが支払った保険料(いわゆる契約者 配当金を除く。)がある場合の控除です。

保険契約等において保険金の受取人の全てが保険料を 支払った方やその配偶者、親族(新(旧)個人年金保険 については、親族を除きます。)とされているものが対 象となります。

平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る 保険料(新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金 保険料)と平成23年12月31日以前に締結した保険 契約等に係る保険料(旧生命保険料、旧個人年金保険料)は、生命保険料控除の控除額の計算方法が異なり ます。なお、新(旧)生命保険料、介護医療保険料、新(旧) 個人年金保険料の区分は、生命保険会社等が発行する 証明書に表示されています。

■配偶者控除
配偶者控除とは、控除対象配偶者がいる場合の控除になります。控除される金額 は、一般の控除対象配偶者 38万円 、老人控除対象配偶者は48万円になります。

■扶養控除
扶養控除とは、控除対象扶養親族がいる場合の控除 で、16歳未満の扶養親族 については、扶養控除の適用はありません。また、控除される金額は、一般の控除対象扶養親族 38万円、特定扶養親族は63万円 老人扶養親族は、同居老親等で58万円、 同居老親等以外で48万円になります。

■基礎控除
基礎控除は、全ての方に適用される控除で、38万円になります。
※所得控除の具体的な計算は確定申告書の手引きを参照されてください。

税金の計算をする

課税される所得金額の計算として、所得金額の合計、所得から差し引かれる金額の合計、所得金額の合計から所得から差し引かれる金額の合計を差引した金額を記載します。また、差引金額をもとに課税される所得金額に対する税額の計算を行い、税金の金額を記載します。

■税額控除
税額控除は最終の所得税から差し引きできる控除のことをいいます。ここでは、住宅借入金等特別控除について、確認します。

■(特定増改築等)住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除とは、住宅借入金等を利用して家屋の新築、購入又は増改築等をして平成19年1月1日以後に居住の用に供した場合で、 一定の要件を満たすときの控除です。『(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書』で計算した金額を転記します。なお、 給与所得者が、既に年末調整でこの控除を受けた金額を記入する場合には、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」欄の額(摘要 欄の「住宅借入金等特別控除可能額」欄に金額が記載されている場合はその額)を欄に転記します。

■差引所得税額 および復興特別所得税額
差引所得税額および復興特別所得税額を記載します。復興特別所得税額は基準所得税額に2.1%の税率を乗じて計算した金額を記載します。

■所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額
給与や年金などの支払者において、 あらかじめ差し引かれた所得税の額がある場合、所得税等の源泉徴収税額の合計額を記入します。

■所得税及び復興特別所得税の申告納税額
所得税及び復興特別所得税の申告納税額を記載します。

その他、延納の届出、還付される税金の受取場所を記入する

青色事業専従者又は事業専従者がある場合に、それぞれ青色申告決算書の専従者給与額又は収支内訳書の専従者控除額を転記します。また、青色申告特別控除額 は、青色申告決算書から転記します

住民税、事業税に関する事項(申告書第二表)を記入する

所得税等の確定申告書を提出した場合、その確定申告書等が地方公共団体へデータで送信されますので、改めて住民税や事業税の申告書を提出する必要はありません。ただし、所得税等と住民税や事業税とでは取扱いが異なるため、「住民税・事業税に関する事項」欄 に該当事項を記入します。 住民税や事業税の税額は、所得税等の申告書に記載された所得の金額その他の事項を基に、都道府県や市区町村が 税額を計算してそれぞれ納税者に通知することになっています。

引用元:
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/pdf/33.pdf
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/pdf/02.pdf

青色申告の提出期限

青色申告は、青色申告決算書と確定申告書Bを提出します。その提出期限とその他の必要な添付書類については以下になります。

提出期限は、申告年の翌年2月16日から3月15日(年により、多少の前後があります)。
添付書類は、源泉徴収票、社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書がある場合は添付します。

また、添付書類は原本でなければいけないほか、各種添付書類が添付されていない場合は控除を受けられないので、注意が必要です。添付書類は関係機関から12月頃までに送付されてきます。

もし、計算方法が分からない場合、決算書や必要書類を持参して税務署に相談にいくのもよいでしょう。確定申告時期には税務署では無料相談をやっていて、確定申告書の記載方法を教えてくれるので、検討してもよいでしょう。

まとめ

青色申告は、税金の計算上で様々なメリットがありますが、作成する書類は多いです。まずは、必要経費の計算の対象となる領収書を保管して、整理する作業を日頃から、きちんと行うようにしましょう。

また、実際の書類の作成は会計ソフトを利用することも検討しましょう。作成時に記入方法の不明点がある場合は、確定申告時には無料相談コーナーも設営されますが、確定申告時期は混み合うので、早めに相談に行くようにしましょう。

仕事が忙しく、青色申告書を作成する時間がない方は、税理士への依頼を検討してもよいでしょう。ただし、税理士へ依頼するとしても、確定申告時期はどの税理士も繁忙時期で、依頼しにくい状況であることを想定するべきでしょう。よって、青色申告を行うには、その年の12月ぐらいには、必要書類を確認して、準備を始めるようにしましょう。

The post 青色申告の必要書類一覧と書き方を徹底解説【個人事業主の確定申告】 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/57/feed 0
個人事業主が法人化(法人成り)するメリット11個とデメリット6個 https://yokohamabiz.com/archives/12 https://yokohamabiz.com/archives/12#respond Tue, 24 Oct 2017 06:51:26 +0000 https://yokohamabiz.com/?p=12 事業を営んでいる方にとっての課題には、利益を少しでも多く上げていくことや事業をいかに発展させ継続していくか、また決められている法規制に対して如何に対応していくか、などといったさまざまなものがあります。 そういった中、個人 […]

The post 個人事業主が法人化(法人成り)するメリット11個とデメリット6個 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
事業を営んでいる方にとっての課題には、利益を少しでも多く上げていくことや事業をいかに発展させ継続していくか、また決められている法規制に対して如何に対応していくか、などといったさまざまなものがあります。

そういった中、個人事業主にとって法人化を検討していくことは、とても重要な観点であると同時に、今後生じてくる諸課題を解決できる可能性が秘められています。

法人化のメリットやデメリットを検討することにより、ご自身の事業を法人化するタイミングを考えてみましょう。

個人事業主にとって法人化を検討する際には、①税務の観点、②資金調達の多様性、③会社運営の視点、④信用面の問題、⑤事業の発展性の点を考える必要があります。

法人化(法人成り)とは何か

法人化(法人成り)とは、これまで個人でおこなっていた事業を新会社が引き継いでおこなっていくことを言います。すなわち個人事業主として事業をおこなっている方が、新しく会社を設立して、その会社組織の中で事業を引き継いでおこなっていくことです。 

事業を引き継いでおこなっていく、という点が法人成りの特徴で、このことが通常の新しく事業を始めていく会社設立とは異なる点になります。言い換えるならば、法人化は、個人事業の時の資産や負債を新会社が引き継げて事業を行っていくことになります。

資産とは、個人事業主が所有していた預金や売掛金、貸付金などの金銭債権、建物、備品、車両などの固定資産などを指します。また、負債とは、個人事業主が負っていた買掛金や未払金などを指します。

法人化の特徴であり、通常の会社設立との違いである個人事業の時からの資産・負債を引き継ぐという点。このことは、通常の会社設立では、設立時及び開業時において会社が所有するのは、基本的には資本金に相当する資産だけとなりますが、個人事業から法人化した場合には、個人事業主の資産・負債を引き継いで事業を行っていくことができるので、スムーズな事業スタートが切れるとも捉えられます。

個人事業主が法人化するメリット11個

個人事業主がおこなっていた事業を、新会社に引き継がせていく、法人化。この法人化を行っていく11のメリットを列挙します。

1. 税負担を軽くすることができる

個人事業の売上には、所得税が課せられ、法人の売上には、法人税が課せられます。
この税の扱いの違いを理解し、活用していくことで、法人化のタイミングや法人化のメリットを検討していくことが可能となります。

所得税と法人税の違いとして、所得税は、累進課税制度となっており、課税対象の所得金額に応じて、金額が多くなるほど税率も高くなります。一方、法人税は課税対象の所得金額が800万円を分岐点として、税率が決められています(資本金1億円以下の中小法人の場合)。

法人税は、国際化の流れを受けて引き下げ競争が起こっていて、たとえば平成元年の基本税率は40%、中小法人のうち所得金額が年800万円以下は29%でしたが、平成10~11年にかけて一度引き下げられ、平成24年以降も段階的に引き下げが行われたため、今年度は平成になって最低水準になっています。税負担を軽くすることができるメリットの詳細は、後半で説明する法人化のタイミングの中で、詳しく記載して参ります。

2. 金融機関からの融資の受け易さや融資金額の拡大が見込める

法人化することにより、金融機関にとっては法人対象となり、個人事業対象とは扱いの違いが生じてきます。法人の場合は、会社名や本店住所、事業目的などが謄本に記載されて法務局に登録がされて、社会的な信用につながります。更には公的機関の法人向けの融資や助成金などの制度を活用していくことも可能となります。

最近は、国を挙げての企業支援や新規事業の創出、中小企業対策なども手厚く行われております。こういった動きに呼応する形で金融機関も、子会社や系列を活用する形で投資ファンドなどを創出して、法人へのサポートを行っております。法人化に伴って信用力が増すため、資金の調達がしやすくなります。

事業計画や事業の発展性次第では、株式証券市場に上場していくことも決して夢ではないです。また、個人事業と違って、法人は有限責任となるために、個人の資産をおさえられたりするリスクがなくなります。

3. 支払う給与に対して給与所得控除が受けられる

個人事業主として得られる資金は、事業所得の扱いとなりますが、法人の場合には、給与所得としての扱いとなります。法人化によって、法人から給与という形で報酬を受け取ることが可能となります。

その際に、個人事業主では享受することのできない給与所得控除を活用していくことができます。例えば、年間給与を500万円とした場合、給与取得控除額は、収入金額×20%+540,000円と法令で設定されていて、154万円の控除を受けることができます。

これに対して、個人事業主は、青色申告で年間65万円の控除が受けられるのみとなります。

4. 適正な金額を限度として、損金計上を伴っての退職金を受給できる

退職金制度を設けて、退職する際に退職所得として資金を受け取ることが可能となりま
す。更には、退職金に対して退職所得控除を使うことができて、所得税を安くすることが可能となります。

退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額に1/2を掛けた金額が課税退職所得金額となり、所得税の課税対象の扱い金額となります。

退職所得控除額の計算方法は、国税庁ホームページ(nta.go.jp/taxanswer/shortoku/1420.htm) より
*勤続20年以下の場合:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
*勤続20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数‐20年)
となります。

具体的には、たとえば退職金2,000万円で勤続15年の方では、40万円×15の600万円を退職金の総額から控除として引き1,400万円、その1/2の金額700万円のみが所得税の課税対象となります。

5. 決算対策がしやすくなる

個人事業の確定申告は、所得税に関しては、翌年3月15日まで、消費税に関しては翌年3月31日までに行う必要があります。1月から12月までを期間として、1年間の収入と支出をもとに税額が計算され、この期間の設定を動かすことはできないです。

これに対し法人は、法人の各月での売上げの推移を見ながら、決算時期や決算日を決めていくことができて、税負担を軽減することが可能となります。売上のピークや不調な月を予測しながら、年間収益の予測をあらかじめ立てた上で、決算月の設定を行い、この設定から年間の売上額が決められていくことにより、節税の対策や決算の準備をしていくことが可能となります。また繁忙期での混雑を避ける形での決算期を設定していくことなども可能となります。

6. 役員報酬を経費に計上して、法人の税負担の軽減を図ることが可能

代表取締役や取締役の給与は、役員給与として会社の経費、すなわち損金に算入することが認められます。条件としては、役員に対して支給される給与の額のうち、定期同額給与、事前確定届出給与または業績連動給与のいずれかに該当するものとなります。該当した場合でも、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されないことがあります。

大まかに、定期同額給与や事前確定届出給与、業績連動給与とは、どんな内容なのかを記します。

定期同額給与とは: 役員報酬の支給が一か月以下の一定の期間ごとに支払われる給与で、その給与の額が同額であるものをいいます。

事前確定届出給与とは: 対象の役員の職務につき、所定の時期に確定させた額の金銭に基づいて支給される給与をいいます。

業績連動給与とは: 法人の利益の状況を示す指標を基礎として算出される額による給与となるものをいいます。
*国税庁ホームページより引用(nta.go.jp/taxanswer/hojin/5211.htm)

法人にとって役員報酬は、上記に該当する場合に、全額損金算入が行えます。受け取る役員にとっては、所得税の課税対象となります。

7. 財産を法人に移行させることができる

財産を法人に移行させることができます。資産のみならず負債さえも、法人に引き継がせることができます。法人化に伴って、個人事業主の資産や負債の中から、どの様な財産を法人に移すか、引き継がせるかを任意に決めていくことができます。

引き継ぐにあたっては、契約を交わしたり、現物での出資を行ったりしていきます。その際には、時価の算定が必要になります。評価額を決めて、売買契約、現物出資、賃貸借契約などの契約によって移行をさせます。また借入金は、名義変更の手続きなども行っていくことになります。

8. 人を採用する際に、採用がしやすい

法人になったことにより、新たな取引先として取引をしてくれる会社も生まれてきます。事業の拡大に伴って採用活動を行っていくにあたって、法人化によって信用力が増し、就職を検討している人材に取っても、個人事業と比べて、法人に対しては安心感を抱くことができます。良い人材を確保できるなど、採用活動がしやすくなることにつながっていきます。

9. 生命保険の効果的な活用ができる

生命保険に加入し、その保険料を経費にすることができ、節税と金融効果を図ることができます。

法人の場合は、生命保険料を原則経費扱いにすることができます。ほとんどの場合、保険料の1/2もしくは全額を損金に算入することができます。健康保険法の規定により徴収される保険料、あるいは厚生年金保険法の規定により徴収される掛金の法人が負担すべき部分の金額が対象となります。

一方、個人事業主は経費扱いにすることができず、生命保険料控除としてのみ処理を行うことになります。また生命保険や損害保険には、財産貯蓄を有しているものがありますので、それらを活用していくことができます。

10. 福利厚生制度を活用できる

法人ならではの準備できる福利厚生制度があります。たとえば、前述したように会社代表者の保険を会社名義で契約したり、社宅制度を活用することで経費を計上する事ができたりします。

その他にも、慰安旅行や新年会、忘年会、親睦会、更には残業時の食事代や保養所、別荘などが福利厚生にあたります。これら以外にも、全社員が利用できて、常識の範囲内での支給がなされる人間ドックや永年勤続記念品、クラブ・サークル活動への補助や資格取得費用なども対象となり、一定の条件のもとでの経費計上を行うことが可能となります。

社宅制度の活用とは、たとえば住居費分を給与に上乗せしてしまうと、その分が給与として、所得税や住民税、社会保険料等が金額に応じて増えてしまうので、それを税として支払う必要が生じますが、社宅制度を使うことにより、会社から社宅が提供されて、その住居費用分を損金に算入することが可能で、税負担の低減ができます。そのため所得税・住民税や社会保険料の軽減にも繋げることができます。

11. 事業承継がしやすくなる

法人化すると法人の財産は、すべて会社のものになります。そして、会社の財産価値は株式の価格、すなわち株の単価と発行済みの株式数を掛け合わせたものとなります。

不動産などの資産も法人の所有の場合は、現物で分割するのはたいへんですが、法人の株を使って分割することは簡単で、株の割当数を決めていくことにより可能となります。また一時的に費用すなわち損金を計上して、会社の利益を下げることより、株価も引き下げることが可能となります。株価を引き下げておいて、その株を引き渡したり、売却したりすることにより、優位に事業承継を図っていくことが可能となります。株価が下がっていますので、高い時と比較して、多くの株数を贈与できたり、売却できたりします。同時にこれに伴う贈与税の軽減効果も行っていくことが可能となります。

個人事業主が法人化するデメリット6個

1. 設立に際しては、費用を要する

法人を設立するにあたっては、費用が必要で、登録免許税や定款認定手数料、設立手続きの代行手数料、公証人手数料などが必要になります。

2. 決算を行う必要があり、手間や費用を要する

法人の場合、複式簿記を行う必要があり、決算書類には、損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書などが求められています。

3. 赤字決算においても均等割の負担が必要

個人事業では、事業所得が0円の場合、所得税も住民税もかかりません。しかし一方、法人には、法人税として、「法人税(所得税)」「法人事業税」「法人住民税」の3種類があり、所得が赤字であったとしても法人住民税は、「均等割」として、所得に関係なく定額で決められていて、支払わなければなりません。納税額は資本金等の金額によって異なります。

「法人住民税」には、神奈川県であれば、県民税と市町村民税の2つがあり、それぞれ「法人割」と「均等割」からなっています。東京都23区内の法人は都の特例として、市町村民税相当分もあわせて都民税として所管の都税事務所に申告して納めます。法人県民税は県税事務所(都税事務所)に、法人市民税は各市役所・町村役場に申告して納めます。

法人住民税の「均等割」の金額は会社の規模に応じて変わります。具体的には資本金の額が、1千万以下から50億円超までの5段間に分かれています。更には従業員数が50人を超えるか、50人以下であるかによって均等割額が決められています。

4. 交際費の扱いが違う

交際費には、接待費や機密費なども含まれますが、個人事業主では、交際費の全額が必要経費として認められていたものが、法人の場合は、原則交際費は損金として算入できないことになっています。ただし特例の措置があり資本金の額が1億円以下と1億円を超える場合で違いがあります。

資本金の額が1億円以下の法人の場合、交際費の飲食その他これに類する行為のために要する費用、すなわち接待飲食費のうちの50%に相当する金額、あるいは800万円に事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額に達するまでの金額のいずれかの金額が損金の範囲となります。

資本金の額が1億円を超える法人の場合は、接待飲食費に対して50%に相当する金額までが損金の扱いとなります。

5. 廃業届の手続きが必要

税務署、都道府県税事務所、市区町村窓口の3か所に、個人事業の事業廃止届出書の書類を作成し、期限内に届ける必要があります。届出書類としては、税務署には、青色申告の取りやめ届出書や給与支払事務所等の廃止届出書、所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書などを、都道府県税事務所に対しては、事業廃止等申告書を、また市区町村窓口にも、事業廃止等申告書を提出する手続きが必要です。

6. 社会保険の加入が義務付けられる

法人化によって、社会保険料の加入が義務付けられ、費用負担が発生します。社会保険料の負担としては、健康保険、厚生年金、雇用保険料が発生します。

個人事業主が法人化(法人成り)するタイミングの目安

個人事業主が法人化(法人成り)するタイミングには、3つあります。

①課税所得額が、330万円を超える時点
②課税所得額が、900万円を超える時点
個人事業の売上には、所得税が課せられ、法人の売上げには、法人税が課せられます。
所得税と法人税の違いとして、所得税は、累進課税制度となっており、課税対象の所得金額に応じて、金額が多くなるほど税率も高くなります。一方法人税は、課税対象の所得金額が800万円を分岐点として、税率が決められています。
この取り扱われる税の違いによって、法人化のタイミングが決められていきます。
それぞれの税額の違いを列挙して、比較を行います。

個人事業主が対象となる事業の売上に基づく所得税は、法令から平成27年分以降は、5%から最高で45%までの7段階に分かれています。課税される所得金額に対する所得税の金額は、下記の速算表から求められます。

195万円以下の課税所得金額税率 5%控除額 0円
195万円を超え、330万円以下税率 10%控除額 97,500円
330万円を超え、695万円以下税率 20%控除額 427,500円
695万円を超え、900万円以下税率 23%控除額 636,000円
900万円を超え、1,800万円以下税率 33%控除額 1,536,000円
1,800万円を超え、4,000万円以下税率 40%控除額 2,796,000円
4,000万円超え税率 45%控除額 4,796,000円

例えば、課税される所得金額が700万円の場合には、700万円×0.23-63万6千円=97万4千円が所得税となります。

さらに個人事業主の場合は、住民税が課税所得に対して10%、個人事業税が5%課税(所得が290万円までは非課税)されます。

所得税の税率で、課税所得金額が330万円を超えると税率が20%に上がっていることが、上記の一覧表から見てとれます。

一方、法人の際の所得に対する法人税の税率は、資本金の額が1億円を超える普通法人の場合では、平成27年度の税制改正に伴って、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から25.5%だった法人税率は23.9%へと引き下げられ、さらに平成28年度の税制改正で23.4%となっていて、段階的に法人税率が引き下げられています。また、平成30年度以降は23.2%になります。

法人が安い法人税を求めて国外に出ていくことを防いだり、国外の安い法人税の国から企業の誘致を図っていったりするために、更には売上げの拠点を海外に持っていくといった国の活力が損なわれるような事態を避けるために、法人税の引き下げ競争が世界で起きています。

資本金の額が1億円以下の中小法人の場合は、年800万円以下の部分については、法人税が15%、年800万円超の部分については、法人税が23.4%となっています。

この所得税と法人税の税率の違いから、個人事業主が法人化(法人成り)するタイミングには、2つの分岐点があり、1つ目は、利益が500万円を超えたあたりの、すなわち課税所得として330万円を超える時点です。2つ目の分岐点は、課税売上高が1,000万円を超えるあたりの、すなわち課税所得として900万円を超える時点のときが、法人化のタイミングとなります。

③課税売上高が、1,000万円を超える時点
3つ目のポイントとして、個人事業主の課税売上高が1,000万円を超えるときの消費税の納税義務が発生するポイントが分岐点です。

法人の場合には、原則として設立1期目と2期目は消費税が免除されます。したがって個人事業主の課税売上高が1,000万円を超える際に、法人会社を設立し、消費税の納税義務を回避して法人を設立し、法人の設立1期目と2期目の消費税を免除できる制度を活用することで節税が図れます。ただし注意しておくべきこととして、資本金が1,000万円以上になるとこの消費税の免除は適用されないので、留意が必要です。

まとめ

個人事業主にとって、会社を設立していつ法人化するかは、とても重要です。

ここに列挙したように法人化にはメリットやデメリットが、存在するので、税理士などの専門家に相談し法人化のタイミングを考慮しましょう。こちらの記事が法人化を行っていく参考となれば幸いです。

※ブログランキングにも参加しています。よければポチッとお願いします。

にほんブログ村 地域生活(街) 関東ブログ 横浜(市)情報へ

The post 個人事業主が法人化(法人成り)するメリット11個とデメリット6個 first appeared on 神奈川県横浜市で活躍する開業支援型税理士集団『SOU』|公認会計士|弁護士|司法書士.

]]>
https://yokohamabiz.com/archives/12/feed 0